家で豆から焙煎するようになって、最初の数か月は「今日は美味しくできた」「今日はなんか薄い」の繰り返しだった。同じ豆、同じつもりの火加減でやっているのに、飲むたびに味が違う。これ、焙煎を始めた人がだいたい通る道らしい。うちの場合、原因は火力でも豆でもなく、単に「何も記録していなかったこと」だった。
再現性が出ない、いちばんの原因
焙煎してすぐの頃は、感覚だけを頼りにやっていた。フライパンで軽く煎る派でも、手網でも、家庭用ロースターでも、火加減・時間・投入する豆の量の3つがちょっとでもズレると、仕上がりは想像以上に変わる。しかもその日の気温や豆の水分量によっても微妙に変化するので、「前回と同じ感覚」でやっているつもりが、実は毎回条件が違っていた。
つまり再現性が出ない原因は腕の問題というより、単純に「前回の条件を覚えていない」ことに尽きる。ここに気づいてから、焙煎のやり方そのものより先に、記録の取り方を変えることにした。
毎回同じ味にするための記録・管理のコツ
うちで続けているのは、そんなに大げさなものじゃなくて、スマホのメモに毎回この4つだけ書くこと。
- 豆の種類と投入量(グラム)
- 加熱を始めてからパチパチと音がし始めるタイミング(いわゆる1ハゼ)までの時間
- 1ハゼから火を止めるまでの時間
- 火を止めたときの見た目の色と、飲んだ感想
これだけでも、次に同じ豆を焙煎するときに「前回はここで火を弱めたら浅煎りすぎた」といった振り返りができるようになる。慣れてきたらタイマーで1ハゼ・2ハゼのタイミングを押すだけの焙煎ログアプリを使うと、時間軸がグラフで見えて微調整がしやすい。感覚に頼らず、前回の自分のメモをなぞるように焙煎する。これだけで仕上がりのブレはかなり減った。
コーヒーコーナーを部屋に作る楽しみ方
焙煎を続けていると、道具がどんどん増えてくる。手網、生豆のストック、焙煎後の豆を入れる保存容器。これを適当に置いておくと途端に生活感が出すぎてしまうので、うちはキッチン脇の棚の一角を「コーヒーコーナー」として決めてしまった。
保存容器は密閉できて豆の劣化を防げることを大前提にしつつ、素材はガラスかセラミックで揃えると、棚に並べたときにキッチン雑貨っぽく見えて悪目立ちしない。手網や温度計などの道具類は見せる収納にせず、無印良品的なファイルボックスやトレーにまとめてしまうと、来客時にも生活感が出すぎない。木製の棚に焙煎前の生豆を入れた麻袋をひとつ置いておくだけでも、カフェっぽい雰囲気が出て気に入っている。
香りの強い工程なので、コーヒーコーナーは換気しやすい窓際やキッチンとリビングの境目あたりに作るのがおすすめ。焙煎するたび、部屋にいい香りが漂うのも地味に嬉しいポイントだったりする。
記録をつけるようになってから変わったこと
焙煎そのものの腕が急に上がったわけではないと思う。変わったのは、前回の自分がどうやって淹れたかを覚えていられるようになったこと。それだけで「今日はうまくいった」の再現性がぐっと上がった。
道具を雑に置きっぱなしにせず、ちょっとしたコーナーとして部屋に組み込んでおくと、焙煎という作業自体が生活の一部として馴染んでくれる。味のブレに悩んでいるなら、まずは焙煎の腕より先に、メモを取ることから始めてみてほしい。